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12月8日検察不起訴理由説明会の報告

検察審査会=市民の良識に背いた大阪地検

「嫌疑不十分ですべて不起訴」

12月1日、検察審査会が「起訴相当」「不起訴不当」とした告発について、「すべて不起訴処分とした。理由は嫌疑不十分。」との連絡が大阪地検から弁護団にありました。 担当の大塚検事は「関電のコンプライアンス委員会や検察審査会議決が指摘した点を踏まえて捜査を慎重に行ったが、最終的に嫌疑を裏付けるものがない。」と述べたそうです。

当日、オンラインで記者会見を開き、河合弁護士は「嫌疑不十分とは分からなかったということだが、分かろうとしていない。起訴したくないが先にある。隠ぺい捜査で、むしろ臭いものにふたをして回った感じ。検察は巨悪を眠らせないことが本来だが、巨悪はぬくぬくと寝ている。」と述べました。

不起訴決定に先立って、9月6日に提出した告発状が返送されてきました。関電コンプライアンス委員会報告書に基づき、土砂処分と土地の賃借で高値発注していたことが特別背任等に該当するという告発ですが、「当初の告発の捜査の範囲に含まれる」というのが返送の理由です。今回の不起訴決定に含まれることになります。

これについて、記者会見では海渡弁護士が、「9月の告発を受理して不起訴にすれば、検察審査会で2度の起訴相当が出るのは確実。それを封じるために告発を不受理にしたもので、2重の意味で許しがたい。本件は検察審査会に申し立てる。」と述べました。

容疑ごとの今後の追及

●金品受領問題

検察審査会で「不起訴不当」とされていたため、再捜査で検察が再び不起訴としたことによって、刑事責任の追及はこれ以上できなくなりました。

もともと会社法の収賄罪は、公務員の収賄と違い不正の請託を受けて金品受領していることが要件とハードルが高く、これまでだれ一人として立件されたことがありません。

私たちは、森山元助役から関連会社を優遇するよう不正の請託を受けていたと主張し、検察審査会の議決でも「直接言われなかったとしても、地元有力者又は同人の関連会社に対する見返りを、地元有力者らが黙示に示唆していたことは明らか」「取締役の収賄罪が成立すると考える余地は十分ある」とされていました。

大阪地検の不当な決定は、残念ですが、刑事責任追及は終了せざるを得ません。

●不正・不適切発注問題

不明朗なお金を生み出して地元工作に充てるという、事件の本丸である不正・不適切発注問題も、検察審査会で「不起訴不当」とされていたため、再び不起訴とされて当初告発による刑事責任追及は終了になります。

しかし、当初告発の時点では詳細に分からなかった事実が、関電コンプライアンス委員会の報告で明らかになっており、9月6日に土砂処分と土地の賃借、10月12日に倉庫の賃借で新たな告発を行っています。

前述のとおり、9月の告発は「当初告発の捜査の範囲に含まれる」との理由で、不受理扱いにされていますが、検察審査会からも「強制捜査や関係者からの再度の事情聴取や独自のデジタル・フォレンジックの実施など、更なる捜査を十分に行って事実を明らかにすべき」と指摘されたように、当初告発の捜査を十分に行っていないにもかかわらず「捜査の範囲に含まれる」とよく言えたものだと思います。

2重告発にあたるかどうかは、告発状に書いている告発事実が重複しているかどうかで判断すべきで、当初告発には土砂処分や土地の賃借などは書かれていません。検察審査会に申し立てて審査を仰ぎます。

10月に出した告発状については、大阪地検も2重告発だと言えず、受理するという連絡を受けています。強制捜査を行い、起訴を行うよう、大阪地検に求めていきます。

また、関電は高値発注はなかったという立場を崩していません。株主有志が、関電コンプライアンス委員会報告書に基づき、関電に損害賠償を旧役員に求める提訴を行うよう求める手続きをしています。関電は12月26日までに提訴するかどうか決めなければなりません。関電が提訴に踏み切れば高値発注を認めたことになり、提訴しなければコンプライアンス委員会報告書を否定したことになります。こちらも注目です。

●役員報酬減額分、追加納税分の補填問題

検察審査会が「起訴相当」としたこれらの事件まで、再び不起訴にしたのは驚きです。

報道では、補填を受けていた退職後の役員の一部に顧問としての業務の実態があったことが不起訴理由とされています。最初の不起訴の理由を聞いたときも担当検事は「(犯罪を)疑われる書類が作成され、証拠とした。関電の調査委員会が上乗せとしていることは否定しないが、退任役員へのルールがなく、全体として報酬に違法性はないと判断した。」と述べていました。今回も同じ判断のようです。

法に違反する闇補填の指示があったことが立証されている事実です。報酬を受け取っていた退任役員には全く業務実態がない者もおり、一部に業務実態があったとしてもその報酬額が妥当かどうかを判断基準にすることはへ理屈としか言いようがありません。検察の理屈は、「泥棒に入ったけれど盗んだものがたまたまゴミだったから罪に問えない」と言っているようなものです。

「起訴相当」としている検察審査会が再び審議することになります。もう一度「起訴相当」と議決されれば、強制起訴されます。検察審査会に市民の怒りを届け続けることが重要です。

大阪地検前で抗議行動

不起訴決定が出た翌日、12月2日、大阪地検前に集まり抗議行動を行いました。

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説明にならない説明を繰り返した担当検事

告発する会世話人と弁護団は、12月8日、大阪地検を訪れ、担当の大塚検事から不起訴理由の説明を受けました。

やり取りの概要は次のとおり

大塚検事(以下A):不起訴の主文は嫌疑不十分
不適正発注に関しては、対象期間の工事を改めて捜査し、土砂処分、土地貸借を重点的に捜査した。任務違背、損害の発生があったと認めがたい。
収賄については、不正の請託を認めがたい。
報酬、納税分の補填に関しては、任務違背、損害の発生を認めることができなかった。

告発人ら(以下Q):土砂処分、土地賃借を捜査したのはいつからか?
A:前回捜査時から。濃淡の違いはある。
Q:関電コンプライアンス委員会が指摘した証拠は入手したのか?
A:必要なものは入手した。
Q:強制捜査はしたのか?
A:回答は差し控える。
Q:なぜ答えられないのか?
A:必要な捜査はしたに尽きる。
Q:強制捜査の有無を開示してはいけない根拠は?
A:刑事訴訟法47条
Q:条文は「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」というもので、根拠にならない。根拠が示せなかったと発表する。
A:(無言)
Q:土砂処分で吉田開発が設けるスキームは認定したのか? それとも犯罪の構成要件が不足したのか?
A:スキームの認定に至っていない。吉田開発が不当な利益を得たと認定できなかった。
Q:何をもって不当な利益でないと認定したのか? 基準は何か?
A:契約等を調べた。
Q:契約は形を整えるので、不正な利益など現れない。
A:吉田開発には、対価相当の仕事があった。
Q:9月6日に出した土砂処分、土地賃借の告発を不受理にする根拠は?
A:再捜査中の事件と同じもの。
Q:不受理は法的根拠がない。同じ事件だというならその理由で不起訴処分にすべき。検察審査会への申し立てを封じる目的であり許しがたい。我々は検察審査会へ申し立てる。

Q:金品受領を預かり保管だとは認定していないか?
A:収受が決め手ではない。弁解が通るとは言い切れない。不正の請託、なかったというか、認定するに至らなかった。
  全体に嫌疑がなかったとは言っていない。認定するに至らなかった。立証に足るレベルに至らなかった。
Q:不正の請託は、包括的な場合もありうるのか?
A:個別工事への紐付けまでは求めていない。
Q:何が足りないのか
A:認定するに至らなかったに尽きる。

Q:納税分や報酬の補填については?
A:補填をした事実の認定に至らなかった。刑事事件として立証可能かどうかである。民事の任務違背と刑事は違う。過失責任が問われる。
Q:業務実態があったかどうかは後付けで、報酬支払の経緯と趣旨が問題のはずだ。
A:有罪立証の見込みのあるものを起訴する。

Q:「必要な捜査はした」「認定できなかった」と言うのみで、その根拠は何も示していない。これで説明と言えるのか?
A:説明できるものは説明している。
Q:10月12日に提出した倉庫案件の告発は受理されたと聞いたが、大塚検事が担当か?
A:引き続き捜査に当たる。
Q:嫌疑不十分などということの無いように強制捜査を行い、起訴することを求める。
A:ご意見としてうかがっておく。

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