会社訴訟 |
株主訴訟(金品還流) |
株主訴訟(土砂処分等) |
原告:関電、株主
被告:八木元会長、岩根元社長、豊松元副社長、白井元取締役、森元会長、八嶋元取締役
争点:金品受領、事前発注約束等の不正、社内調査の非公表、役員報酬の闇補填、追加納税分の闇補填、取締役会への非報告、監査役会への非報告 |
原告:株主
被告:森中、森本、弥園元取締役、稲田、杉本取締役、土井元取締役、島本取締役、井上、大石元取締役、田村、樋口、土肥、槇村、十市、大坪、八嶋、佐々木元監査役
争点:事前発注約束等の不正、取締役会への非報告、監査役会への非報告 |
原告:株主
被告:森元会長、八木元会長、豊松元副社長、森中取締役、森本元取締役
争点:土砂処分、土地賃借、倉庫賃借の高値発注 |
どの訴訟かは、背景の色で区別 |
会社訴訟の現状
2023年6月の口頭弁論以降、同年9月11日、11月16日、2024年2月2日、4月19日、7月1日、9月18日、12月5日に書面による準備手続き(非公開)が行われました。この間、2024年4月に裁判官3人全員が交代し、谷口裁判長、右陪席が高原裁判官、左陪席が佐藤裁判官となっています。
この訴訟では、原告会社と被告の主張がほぼ出尽くしています。原告株主は、2023年11月13日付で第三者委員会報告書作成の元になった書類等に対する文書提出命令申立てをしていますが、原告会社、被告は命令は必要ないとする意見書を提出しています。
9月18日の手続きで、裁判所は
・金品受領に関しては、損害論に影響しうるとみている。被告らのヒアリング記録などの提出を会社は検討してほしい。
・報酬減額補填、納税分補填について、会社は立証が足りていると主張しているが、問題があると判断している。第三者委員会の認定の根拠になった資料が他にあれば提出の検討を
と指示を行いました。
しかし、12月5日の手続きでも、関電は「第三者委のヒアリング記録を会社は保有しておらず、第三者委からは提出を断られた」「社内調査委員会のヒアリング記録は、提出の必要がないと判断している」と後ろ向きの態度を続けています。裁判所は「文書提出命令の必要性の検討上、有益なものだと認識しているので、一部だけでも提出してほしい」と再度指示を行いました。
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株主訴訟(土砂処分等)の現状
2023年12月の口頭弁論以降、2024年3月11日、5月17日、7月18日、9月20日、12月6日に書面による準備手続き(非公開)が行われました。
この間、原告は7月に土砂処分、土地賃借、倉庫賃借の高値発注を明らかにした関電コンプライアンス委員会報告書に示されている根拠資料について、文書提出命令を出すよう申立てています。被告側は「証拠あさりだ」と反発しましたが、裁判所は被告に意見を出すよう求めています。
被告側からの土砂処分と土地賃借の高値発注に関する意見が出され、引き続きA倉庫賃借の高値発注に関しても、意見書が出されることになっています。意見が出そろったら命令を出すかどうか裁判所の判断へと進みます。 |
2024年12月5日 株主訴訟(金品還流)の書面による準備手続き
裁判所の求めにより原告がエクセルで論点の整理一覧表を作成、これに被告の監査役グループの認否の記載が終わりました。
同じように被告の取締役グループにも記載するよう裁判所が求めたところ、この表では論点を網羅して書けない、何を目的にした表か分からないなどと被告代理人が反発。エクセル表を作ったのが人事交替する前の裁判体であったこともあって、裁判所も強く出ることができず、必要な見直しを行って指示をするということになりました。
書面による準備手続きでは珍しく、1時間すったもんだのやりとりになりました。
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2024年7月8日 株主訴訟(金品還流)の第5回口頭弁論
裁判官が3名とも交代したため、最初に弁論更新の手続きが行われました。
その後、前回2022年12月以降に提出された書面について確認し、正式な提出とする手続きが行われました。
続いて原告の一人が意見陳述を行いました。
大河弁護士は、2018年10月9日に行われた役員研修会の資料を示しながら、資料を見るだけで前代未聞の不祥事が発生していることを容易に認識できた取締役らは、直ちに取締役会の報告すべきであったのにしなかったと指弾しました。
北村弁護士も、八嶋被告が「研修会で済ませる話ではないと感じた」と書いているペーパーを示し、八嶋の報告を受けた監査役が報告義務を怠ったと指摘しました。また、被告佐々木が監査役就任前に関電に不祥事隠ぺいを指南しておきながら報告義務違反はないと主張し、内部告発文書に書かれた事実の認否すら行っていないことの不当性を、内部告発文書を示しながら鋭く追及しました。 |
2023年12月8日 株主訴訟(土砂処分等)の第1回口頭弁論
これまでに提出された書証や証拠を正式に受け付ける手続きが行われた後、株主の権利弁護団に所属する富田弁護士が土砂処分問題を、前川弁護士が土地賃借問題を、塚田弁護士が倉庫賃借問題をそれぞれパワポで作った資料に基づいて訴状の説明を行いました。
続いて、原告の一人が、関電がウソを重ねていることが許せないと意見陳述しました。 |
2023年9月15日 株主訴訟(土砂処分等)の第1回進行協議
原告は争点が重なっているからと併合審査を求めましたが、裁判所は具体的な事実が異なること、会社訴訟の審理が進んでいて進行状況が違うことを理由に、独自に審議すると判断を示しました。 |
2023年6月7日 会社訴訟第3回口頭弁論
1年2か月ぶりの口頭弁論。最初に、この間に提出された準備書面の確認が行われました。(原告会社第13〜21準備書面、原告株主準備書面5〜7、被告森ら第5〜8準備書面、被告八嶋第4〜8準備書面)
次に今後の主張予定が確認され、続いて、福島事故で避難生活を余儀なくされている原告株主の一人が、関電の経営体質では再び大事故で被災者を生んでしまうので糾す必要があると意見陳述しました。
大河弁護士が、原告株主の提出した準備書面の概要を説明し、5月19日に提訴した事件との併合審査を求めました。河合弁護士も、コンプライアンス委員会報告書で高値発注はなかった、高浜町元助役が特殊な人物であったという関電の防衛線が崩れたことを重く受け止めるべきと訴えました。
報告集会では、口頭弁論に先立って行われた書面による準備手続きで、裁判所からコンプライアンス委員会関係の文書提出命令申立てを取り下げないかと提案があり、併合審査を求めていてコンプライアンス委員会の問題は「背景事情」ではないと押し返したことが報告されました。裁判所は真相を解明しようという姿勢に乏しく、手続き・形式論に固執していると言わざるをえません。 |
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2023年5月19日 新たな損害賠償請求を提訴
関電コンプライアンス委員会が公表した報告書に基づき旧取締役5人に対し新たな損害賠償請求を提訴しました。訴状の概要はこちら。併せて会社訴訟と併合審査するよう求める上申書も提出しました。 |
2022年12月26日 提訴請求を関電は拒否
関電コンプライアンス委員会が公表した報告書に基づき旧取締役5人に対し損害賠償請求訴訟を起こすよう関電に求めていました(10月26日の項参照)が、関電が提訴しない旨を発表しました。(関電プレスリリース)
関電は、自らのコンプライアンス委員会報告書を否定して、あくまで高値発注はなかったと主張したいのでしょうか。関電に替わって株主が損害賠償請求を提訴することになります。 |
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2022年12月8日 株主訴訟第4回口頭弁論
開廷すると入ってきた裁判官が1名替わっており、最初に弁論更新の手続きが行われました。その後、いつものように第3回以降に提出された書類(原告第13〜19準備書面など)の確認がされ、今後の書類提出予定も確認されました。
続いて、大河弁護士、北村弁護士が、原告準備書面の内容を説明しました。なかでも北村弁護士は、佐々木茂夫監査役(現取締役)が、大阪高検検事長退職後の弁護士時代に関電に検察対策を指南していた2018年4月10日の「作戦会議」の議事録(内部告発文書で入手)にもとづき、報告義務がみとめられると主張しました。議事録には「金銭は預かったものであり、受け取ったものでないとのスタンスで今後とも対応すべき」「森山氏が金品を渡すことについて、相当、特異な価値観をもった人物であることを際立たせること」などの発言が記録されており、その後、関電、被告は同じ主張をしています。
「作戦会議」は計4回行われたことを佐々木自身が明らかにしており、関電に文書提出命令を出すよう裁判所に求めています。
最後に原告の一人が意見陳述しました。 |
2022年10月26日 新たに提訴請求書を関電に送りました
4月20日に関電コンプライアンス委員会が公表した報告書により、土砂処分、土地賃借、倉庫賃借で関電が高値発注を行い、高浜町元助役の関係会社や原発推進派町会議員に不当な利益を与え、会社に損害を出していたことが明らかになりました。提訴時に分かっていた不正発注の損害額は3億2千万円ですが、土砂処分だけで最大22億円の高値発注があった可能性があります。この間の非公開の「書面による準備手続き 」等で損害額が大きくなるので請求の拡張を考えていると主張したところ、裁判所から請求拡張は株主代表訴訟では会社に対する提訴請求が必要とされました。そこで提訴請求を行うことにし、関電宛送付しました。提訴請求書はこちら
関電は、この間、高値発注はなかったとし、コンプラ委員会報告書公表後も「請求を追加する予定はない」としています。提訴請求を受けた関電が高値発注を認め、旧経営陣に請求追加する提訴を行うかどうか、注目です。 |
2022年4月18日 会社訴訟第2回口頭弁論
最初に、この間に提出された準備書面の確認が行われました。(原告会社第10〜12準備書面、原告株主準備書面3,4、被告森ら第3、4準備書面、被告八嶋第2、3準備書面)
続いて同じく提出された証書の確認が行われましたが、ここでハプニングが発生しました。原告会社が、報酬補填の起案に八嶋が押印した書類など4点について写しを提出していたのですが、八嶋の代理人が「原本は存在するのか」と訊いたところ、関電代理人「原本の有無について言及しない」とのやりとりになり、これら書類の裁判所の取調べは留保されることになりました。このやり取りについて記者会見で記者に問われた我が弁護団は、「手続きを簡略化するため写しを提出することはよくあるが、原本があるから写しがあるのであり、原本の有無について答えないというのは関電にとって何か不都合なことがあるのではないか。」「いずれにしても報酬補填に関して一番重要な書類」と述べていました。
次に今後の主張書面の提出予定と締切が確認され、原告株主は金品受領以外の問題を6月末までに提出すると表明しました。
大河弁護士が続いて、準備書面4の概要を口頭で説明しました。八木らは金品を預かり保管して頂けと主張しているが預かり証は発行したのかなど求釈明している。「後日の返還を期して」預かったとするが、後日の期日を誰かに告げたのか、金沢国税局の税務調査後に返却していることからも預かっていたとは言えない。豊松は修正申告に応じ追加納税も行っている。他の被告も1着50万円のスーツ券を使用して仕立てている、などなど。
最後に原告の一人が準備書面3でも詳述した、報酬補填に至る前の報酬減額を関電が拒んでいた経緯を明らかにし、補填がいかに問題かを意見陳述しました。 |
文書送付嘱託について
左記会社訴訟の記者会見&報告集会で、関電の文書送付嘱託についての態度を批判するプレスリリースを出しました。
関電の社内調査委員会、第三者委員会、取締役責任調査委員会の報告書のもとになった資料の提出を求めるよう裁判所に申し立てたところ採用され、関電等に文書送付嘱託がされました。ところが関電は「社内調査委員会等は解散しており、認定のもとになった資料を特定できない」というふざけた理由で提出に応じませんでした。このことを批判するプレスリリースです。
関電の言い逃れを許さないために、社内調査委員会等に提出した資料について文書送付嘱託申立てを行いましたが、裁判所が「包括的すぎる」と認めませんでした。 |
2022年1月25日 株主訴訟第3回口頭弁論
冒頭、前回以降に提出された準備書面の確認がありました。原告が提出した準備書面は、第7(被告森中取締役の責任の補充)、第8(被告森中の責任のさらなる補充)、第9(被告八嶋、被告土肥の責任及び検察OBの関与について)、第10(被告森中の責任・報告義務)、第11(被告森中の責任・公表義務)、第12(被告森本らの責任・報告義務)です。
原告1名の意見陳述(意見陳述内容)に続いて、井戸弁護士が、第9準備書面と第12準備書面の趣旨を説明しました。研修資料を見て「研修会で済ませる話ではないと感じた」と自ら書いている被告が取締役会への報告義務に違反していること、元検事総長の土肥被告が法的な問題に関して指導的な立場にあり強い影響力を持っていたこと、現社長森本被告らが見た研修資料は工事発注の便宜を図った見返りに金品の提供を受けたことを強く疑わせるものであったことなどを説明しました。
5グループに分かれている被告からは、田村ら監査役G、八嶋元監査役、佐々木前監査役、森中からそれぞれ責任がないと主張する準備書面が出されています。
また、口頭弁論に先立つ1月17日に、先に申し立てていた文書送付嘱託申立が裁判所に一部採用されました。関電の社内調査委員会、第三者委員会、取締役責任調査委員会の報告書の原資料について、裁判所が所有者に2月18日までに提出するよう求めたのです(強制力はない)。「一部採用」について、井戸弁護士は、「却下されたのは金品受領の背景事情にあたるもの、森、八木、岩根ら会社訴訟に分離された被告に関するもので、大半は採用された」と報告集会で解説してくれました。
文書送付があって新たな事実が明らかになれば、主張を補充する書面を提出する意向があると原告弁護団は裁判所に伝えています。 |
2021年10月6日 会社訴訟第1回口頭弁論
被告らは、金品受領について、森山氏との関係悪化などを危惧して「預かって保管していたに過ぎない」、報酬補填も業務の実態がある正当な対価だと答弁書で主張。
原告株主が「社会的な常識からかけ離れた思考回路で会社の経営方針が決められてきたことが問題」と意見陳述を行い(意見陳述内容)、大河、河合両弁護士が訴状の説明を行いました。被告と関電の代理人は、口頭での陳述は行いませんでした。 |
2021年6月4日 株主訴訟第2回口頭弁論
第1回口頭弁論後に被告から請求原因が特定性を欠くなどと主張する書面が提出されていました。これに対し原告は反論する準備書面と関電の第三者委員会等の報告書の根拠となった文書を送付するよう求める申立書を提出し、説明を行いました。
また原告1名が意見陳述を行いました。意見陳述内容 |
2021年3月16日 株主訴訟第1回口頭弁論
双方提出の書面の確認の後、河合弁護士、井戸弁護士から口頭で訴状の趣旨説明を行いました。続いて原告2名が意見陳述を行いました。その内容はこちら。
一方、被告側は一連の金品受領は「預かり保管だった」などとする答弁書を提出し、全面的に争う姿勢を示しました。
終了後、記者会見&報告集会を開催し、「巨額の金が渦巻かないと原発の運転もできないということを明らかにするのが、裁判の目的だ。被告らの不正行為を徹底的に洗い出し、同種の問題が起きないように浄化しないといけない」と訴えました。 |
2021年1月18日 株主代表訴訟第2回進行協議
裁判所から5人(森、八木、岩根、豊松、白井)についての株主の訴えは、関電が訴えた会社訴訟と併合してそちらで行うと提案があり、そのように決まりました。 |
2020年12月2日 株主代表訴訟第1回進行協議
3月16日までに進行協議を3回行うことになり、その日程調整を行ったほかは、関電が訴えた訴訟(会社訴訟)との関係をどうしたいか、双方が意見を述べました。西村裁判官は、関電の意見も聞いて決定するとして、約30分で進行協議は終わりました。 |
2020年10月29日 関電が八嶋前監査役を提訴すると決定
関電の発表はこちら
八嶋氏は、秘書室担当取締役であった2016年に役員報酬減額の闇補填を退任役員に対して行うことを森詳介会長(当時)らと決めており、関電のコンプライアンス委員会から善管注意義務違反を認定されています。このため株主代表訴訟の原告5名が損害賠償請求を行うよう関電に求めていました。関電は、その後の八嶋氏の監査役としての業務にも善管注意義務違反があったとして、総額1億7千万円の損害賠償請求を起こすことを決めました。提訴は11月17日に行われました。 |
2020年10月16日 関電が訴えた会社訴訟への共同参加を申し出
関電の八木、岩根、豊松、白井、森に対する19億3600万円の損害賠償請求訴訟に、共同原告として参加したいとする申し出を大阪地裁に提出しました。 |
2020年8月26日 関電は佐々木前監査役を提訴しないと決定
関電の発表はこちら
佐々木氏は、元大阪高検検事長で、不正還流問題を金沢国税局が調べていた時に、関電の相談に乗って検察対策を指南したことが疑われています。それにもかかわらず、2020年6月の株主総会招集通知で、問題を知らなかったとされ、招集通知が総会直前に修正されるという事態になっていました。今回、関電の依頼を受けた弁護士が本人にヒアリングするなどして問題なしと認定したとされています。そりゃ、問題ありと本人は言わないでしょう。 |
2020年6月23日 提訴
提訴までの経過、当日の様子はこちら 訴状はこちら(PDF形式) |